2011年10月26日水曜日

マノミキ

起き抜けに、
ラジオと、テレビと、電気コンロのスイッチをONにする。
それから、そのままシャワーを浴びる。
いつの間に、シャツとパンツを脱いだのか、
そしていつの間にタオルで体を拭き取り、
ホットコーヒーを入れて、
新しいパンツとシャツを着たのか、
まったく記憶がない。
ラジオではトラフィックインフォメーションを、
テレビでは全国のお天気を、
窓の向こうでは、
もうすでに一日を始めた人たちが街を作っている。
さっき火を点けたはずの煙草は、
気付けば4/5が灰になり、
鳩は騒ぎだし、
朝勃ちは静まり、
しかし、
まだ、
俺は起きていない。
いつの間にか、
過ぎ去っていく尊いひととき。
阿呆面下げて浪費していく、
ある意味贅沢な日々の中で、
いつの間にか、
馬野幹と出会っていた。


「世界中の男たちを全員殺して
 世界中の女たちを全員犯したい」

そんなことを、
春の夜の公園を二人で散歩していたとき、
奴は言った。
世間では、奴は詩人と呼ばれていたりして、
偶然にも、俺も詩人と声掛けられたりするが、
不思議と二人で過した時間の中で、
詩について語り合ったことは一切なく、
そのほとんどの時間は、
女と、女と、女と、
セックスと、
それからまた女と、
女にまつわるetc...
の話で占められていて、
ときどき子供の頃の思い出話をした。
毎日ツルんであそぶ友人ではなかったし、
(もとよりお互いそんな友人はもっていなかった)
女の好みのタイプもまるで違い、
(おかげで今日まで殺し合いをしなくてすんだ)
求める理想も微妙に異なった
(だから奴のことを好きになれたよな)

ここ半年くらいは、
まるで会っていないが、
しあわせなのだろうか。
最近、引越をしたりして、色々と環境を変えたとの事。
また、一切の詩の話を閉ざして、
詩の時間を過したい。
奴はいつも、
わからないことがあると、
「なんで?」
と、二才児のような瞳で、
真っ直ぐに質問をぶつけてくる。
こっちは刹那ドキッとする。
それは、
とても心地の良い瞬間だ。

寝るまえに、
すべてのスイッチをONする。
そして、そのまま寝ないで、
現実の世界を夢とする。
そんなレイプを夜毎繰り返す男。
マノミキ
たとえそれが百万回繰り返された質問だったとしても、
俺はいつも、
いつの間にか、
イッてしまう。


最後にメルヘンをひとつ。
ある地方でのステージを終えた翌日の事。
みんなで朝メシを食っているとき、
「ちょっと買い物に行ってくる」
と言って、
奴はどこかに消えた。
一分後に、携帯電話にメールが届く。
「ごめん。オナニーしてくる」
この"ごめん"の部分に、
ノーベル平和賞を!


「馬野幹という友人」桑原滝弥
~(馬野幹攻略本)より~







上記文章は五年程まえに書きました



そんな奴さんと久々の饗宴です場末で
(シークレットライヴになります。見つけてね!)



情けの報いは斜陽にあり



よろしくお願いします